オカルトコーナー

♪死霊さんいらっしゃ〜い♪アルチュール・ランボオの巻♪

FILE005・ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボオ

種別・

生きて働く死霊さん(崇り神)

特徴・

金髪碧眼の、典型的な美青年。生前は高名且つスキャンダラスな天才詩人。常に茶色のスーツを着用。

趣味・

イイ男を観察する事。

弱点・

イイ男に滅法弱い事。


電脳ブラックジャック近影
電脳ブラックジャックの
「死霊さんいらっしゃ〜い♪」
崇り神アルチュール・ランボオの涙

あらすじ 私、電脳ブラックジャックは、ヒーラーとして修行中である。西暦二千年十月、生きて働く高貴な死霊さん「陛下」が私の師となった。私は、世にも珍しい「ヒーラー死霊と暮らす人種」となったのである。お蔭様で、妙な苦労が絶えませんです。

私はヒーラーとしての修行中、(完成度は低いけれども)「死霊さんの口寄せ」という、ちょっとイヤな特技を身につけてしまった。それからというもの、身の周りにはしょっちゅう、様々な死霊さんがウロウロするようになった。元々幽霊なんて信じてなかった私にとって、ボンヤリと半透明にしか見えない死霊さんたちは、大して怖い存在ではない。むしろ彼らは人間よりも人間くさく、時に、かわいらしくさえある。

『崇り神・アルチュールランボオの涙』
2000年十月二十八日(土)午前十一時四十九分、記。

かの天才詩人アルチュール・ランボオは死後、崇り神と化し、ホモを差別する連中を世界中で崇りまくっていたそうです。そんな彼が2000年10月、私・電脳ブラックジャックに懐いてついて来てしまったのでした。

ランボオは普段、たまに崇り神のザコを食すらしいのですが、
「俺はストイックだから、陛下みたいに食欲野郎じゃないんだ。」と言ってました。(因みに、陛下の主食はザコの崇り神です。)

2000年10月27日、夜中の事でした。就寝中の私は、何故だか勃起感を覚え、寝惚けながら目を覚ましました。すると、

ランボオが、私の逸物をフェラ×オしてるではあ〜りませんか?!

なんと彼は、私のコックに心を奪われ、思わずむしゃぶりついてしまったのですね。大慌てで「ランボオさん、ひょっとしてあなたの主食って、ちんぽなんですか?!精液なんですか?!」と尋ねると、ランボオは言葉に詰まります。「今、答えられなかったって事は、それで間違い無いんですね?」と聞くと、コクンと頷き、

「崇りまくってると疲れが溜まるし、碌でも無い奴の汚い心ばかりを見て辛い。せめて綺麗なちんぽをしゃぶらせてくれよ。」と言います。

「私は虚弱体質だから、射精すると体力を消耗してしまいます。私の傍にいたいのなら、射精は勘弁して下さい!」とお願いしたのですが、どうしても我慢できないらしく、
「安心しろ、お前を取り殺したりしないから。」と言って、勝手にケツに入れちゃったのです。ランボオは身動きせず、
「こんなに気持ち好いセックスは初めてだ。なんて安らぐんだ。ああ、知らなかった!!」と、頭の中が真っ白にぶっ飛んでしまう処まで、ケツでイキまくり、二回ほど射精もしたようです。そしてそのまま、私に抱っこされて、気持ち好く眠りについたのでした。

深夜、喉が詰まり、大きい崇り神らしきものが腹の中へ入って行こうとしているのが解り、目が覚めました。そいつに死霊さんヒーリングの波動を浴びせ、「落ち着いて、落ち着いて!」と宥めたのですが、普段接しているような、小粒な崇り神ではないらしく、どうにもなりません。心の中で
「陛下!助けてーーー!!」と叫ぶと、陛下がぶっ飛んで来て、その巨大な崇り神と死闘を始めました。私は睡魔に襲われ、そのまま眠りに落ちてしまいました。

翌朝目覚めると、ランボオは私の腕に抱かれたままです。聞くと、ランボオには、自分でも制御できない程の人数の崇り神が集合していて、陛下にそれら(=私を乗っ取るべく腹に押し入ろうとした連中)を食いちぎられた挙句、
「ブラックを守るつもりなら本気でやれ!ちゃんとレベルを上げて、全力で守らなくて何が崇り神だ!」と、さんざん叱られたそうです。
「俺、これからは贅沢言わないで、ザコの崇り神を食うよ。」と、ランボオは言ってくれました。

そして昼間、ランボオが少しでも安らいでくれるよう、洗濯しながら、セルジュ・ゲンズブール(当然フランス語)を聞かせたのですが、彼はヴェルレーヌの事を思い出してオイオイ泣くんですね。

「心底愛してたんだあ!あいつ、俺を殺そうとした!だけど、そんな事恨んでやしない。今でも愛してるんだ!ヴェルレーヌに会いたい!!」

「地獄の季節」の文庫本に載っている顔写真から、生前のランボオの存在全体を確認すると、鬱々とした絶望状態を乗り越えられないまま、孤独の内に亡くなってしまったのが窺えます。「いくらレベルを上げても、崇り神のままでいたら、ランボオは永遠にヴェルレーヌに会えない。」と思い、私は彼が可哀想になりました。

「ランボオさん、あなたは天使のように美しい魂を持つ、偉大な方です。芸術家生命を全うしていたら、祟り神になる事もなかったでしょう。上手く行くか解りませんが、治してみますか?」

ランボオは、無言で頷きます。そこで、生きている人間に行っている治療法を試したのです。絶望感を埋めるプログラムを開始しました。
「大丈夫!あなたは一人じゃない!私が一緒に苦しみます!」

しばらくすると、卵の如き存在感の中で、ランボオは繭に包まれて眠りにつきました。

ランボオは、生まれ変わりの時を迎える為に、静かに眠っています。

〜続く〜


◆用語解説◆

「崇り神」
恨めしや系の死霊さん。何故か、生きてる人間の口に入りたがる。赤の他人にとりついてまで、生前の恨み・辛みをはらそうと、支離滅裂な破壊的行動をとる。生前の当人と関係無い人たちに平気で祟るという、傍迷惑な思考パターンを持つ一方、説得に応じて使い魔になってくれる場合もある。蛇状の姿をしたザコから、等身大の人間や、巨大なスジコ状態のものまで、サイズは様々。絶望したままで死んだ芸術家などは、存在感の強い祟り神と化す事が多い。

「レベル」
私のようなヒーラーにも、死霊さんにも、それぞれの特技や属性のレベルがあり、修行すればキチンと上がるものです。死霊さんの場合、レベルが上がると、好きなルックスを一定に保てるようになります。ロープレみたいだけど、本当の話。


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