オカルトコーナー

FILE006・糸巻き車さん

FILE006・糸巻き車さん
発見者・ 都内に在住の李香水さん。
種別・ 巨大な、死霊の吹き溜まり。
特徴・ 都内某所に存在する。「カタカタ」と回転音をたてる。
サイズ・ 高さ60メートル12.5センチ/幅138メートル75センチ、厚み約4メートルと、巨大。
主張・ 「こっちに来い〜!みんなこっちに来い〜!」
弱点・ 生きてる人間たちの労働力・生活力。


Date: Sat, 16 Sep 2000 12:40

私は、ストレスの多い生活を送っています。精神状態が緊迫して、気付いたら夜、表通りから窓を通して、自転車の車輪の回っている様な、カラカラという音が聞こえ続けているのです。最初は無視していたのですが、余りにも毎晩(一晩中)聞こえるので、何か変だと思ってました。よその家や隣の学校の物音ではないし、「ひょっとして自分は幻聴が聞こえているのではないか?分裂病にかかったのだろうか?」と、一人で思い悩み、毎晩その音が怖くて人の声を聞いて誤魔化す為(と、機会があったら、その話題を言い出したくて)、友人たちに長電話をするのが習慣になってました。ところが、

電話の向こうの声と共に、背後からは
キチンと「カラカラ」音が聞こえるのです。

「ウチ周辺全体の、土地そのものが持っているヤバさには、以前から気付いていて、あの場所の風からは、手に嫌なモノが刺さるし、地面からはただならない嫌な気が全開放出されているのが解る。でも、どうしたらいいんだろう?」

冗談抜きで怖くなり、友人の部屋に避難しに来ています。友人は、地縛霊系死霊じゃないか、と言います。幸い、友人は少し霊感が強いので、「カタカタ」の正体を調べてもらいました。

友人「あの死霊、本当に車輪の形して回ってるから、『糸巻き車さん』て呼ぶね。車輪の回転に合わせて『お前もこっちに来い』って言ってる。相手の動きを止めて、謝罪するけど、一時凌ぎ策だよ。」

そうして、異様な対話が始まったのです。

友人 「動きを止めてごめんなさい!まだそちらには行けないんです」
糸巻き車 「よくも止めやがったな、畜生」
友人 「本当にすみません、私たちは敵ではありません」
糸巻き車 「みんな来い、全員来い」
友人 「私たちはやる事が沢山あって、行かれません、ごめんなさい」
糸巻き車 「痛い痛い痛い熱い」「痛い痛い痛い熱い」
友人 「痛いんですか?熱いんですか?そこは戦場ですか?」
糸巻き車 「そうだ」
友人 「そこには、大砲がありますか?」
糸巻き車 「大砲って何だ?」
友人 「皆さん、鎧を着てますか?」
糸巻き車 「着ている」
友人 「皆さん、甲冑を着てますか?」
糸巻き車 「着ている」
友人 「そこでは弓矢が使われていますか?」
糸巻き車 「使っている」
友人 「あなたの痛み・辛さ・苦しみは、よく解りました。ですが、すみません、私たちはそこには行けないのです。そこに住んでいて弱っている人は、あなたの敵ではありません。その人が回復してあなたと対話できるまで、大変申し訳無いですが、向こう三ヶ月だけでも動きを止めて、我慢して下さいませんか?お願いします、勘弁して下さい!」
糸巻き車 「仕方が無い、今回だけは勘弁してやろう」
友人 「有難う御座います!本当に有難う御座います!」

こうして、その場は事無きを得ました。

後日、なんとあの糸巻き車のど真ん中をぶち抜いて、高層ビルを建て始めたのです。それからは、「カタカタ」の音は止み、代わりに、こんな呻き声が聞こえてきます。

「うう〜ん、うう〜ん、工事がうるさい…休ませてくれえ〜…」


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